筋肉の「特性」を知って老化に抗おう

 

老化予防に運動しろとは言うけれど

いつの時代も、老化予防には運動だ!とは言われていますが、実際どんな運動が良いのか分からない方も多いかと思います。実際、老化によって落ちやすい筋肉と、その筋肉が関わる動きに特性がある事をご存知でしょうか? 今回は筋肉の性質と特徴、それらを鍛える運動の一部をご紹介します。

 

筋線維の種類と特徴について

筋肉の繊維は大きく分けて2種類あります。

赤筋繊維(遅筋繊維)と白筋繊維(速筋繊維)の2種類があります。これらはそれぞれ異なる特徴を持ちます。

赤筋繊維の特徴は主にエネルギー効率が良く持久力に長けた性質があります。しかし、その反面で瞬発性には乏しく、瞬間的に強い力を出すことには不向きとされています。白筋繊維はエネルギー効率や持久力に乏しいものの、瞬発的な力の発揮に秀でています。車で例えるならばエコカー(赤筋)、スポーツカー(白筋)のようなものでしょうか。

 

またこの2つの筋繊維は太さにも違いがあり、赤筋繊維は細いのに対し白筋繊維は赤筋繊維と比較し太いのも特徴の1つです。この筋2つの繊維は1つの筋肉のなかで混在してはいるものの、生活習慣や従事する競技等によって、発達の仕方には個人差が多く見られます。よく例え話に上がるものとして、陸上競技の短距離と長距離が挙げられます。長距離の速さを競う持久力特化のマラソン選手や駅伝ランナーと、100mの短距離タイムを競う瞬発力特化のスプリンター。同じ走るという競技ですが、赤筋繊維の発達した長距離選手と白筋繊維の発達した短距離選手の身体つきは見た目にも機能的にも大きく違いがあります。

 

 

加齢に伴い落ちやすい筋肉は?

ここまで、赤筋繊維と白筋繊維の特徴について説明をしてきました。では、その2つの筋のどちらが加齢による影響を受けやすいのでしょうか。結論から言うとそれは白筋繊維になります。その為、歳を重ねるにつれて、瞬発力の低下が優位に進み、若い人と比べ動作もゆっくりになると考えられます。

日常生活における瞬発力の発揮場面としては階段や段差を昇降する際の足の踏ん張る力や、躓いたり、よろめいた際の姿勢を立て直す反応速度などが挙げられます。つまり、白筋繊維の低下は日常生活での転倒リスクとも密接に関与しているのです。

白筋繊維を使う運動と注意点

赤筋繊維と白筋繊維は同じ筋肉の中に混在すると、上記では説明しましたが、その比率は筋肉によって違いがあります。白筋繊維を多く含む筋肉としては太ももの筋肉が挙げられます。その為、スクワットやランジ訓練、階段昇降等が効果的であるとされています。ちなみ、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は心肺機能や認知機能への良い影響はあるものの白筋繊維を鍛える目的としての効果は低いとされています。

 

白筋繊維を鍛える上での注意点

・運動内容によっては無酸素運動になる為バイタル(呼吸数、心拍数、血圧)が変化しや

すい。

・瞬発的運動の為、過負荷になりやすく関節を痛めるリスクがある。

 

※慣れていない人は軽めの負荷支持物のある環境で始めましょう。

 

大生水野クリニック リハビリテーション部 松原

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