【成長期の運動機能】
理学療法士の遠藤です。
今回は成長期の運動について書かせていただきます。
成長期、皆さん経験があると思いますが思春期前後の数年間の事を指します。
身長が伸びたり、体重が増加したり身体の変化とともに運動機能も変化していきます。
その過程を表したグラフがPHA標準化成長速度曲線(下図)と言われ、縦軸が年間の身長増加、横軸が年齢として表しており、4つの区分(phase1~4)に分けられています。
用語が難しく分かりにくいため、説明します。
Take off age
成長期による身長増加スパートの立ち上がりの時期
PHVA(Peak height Velocity Age)
身長の増加が最も著しい時期(男の子13歳ごろ、女の子11歳ごろ)
PWVA(Peak Weight Velocity Age)
体重増加が最も著しい時期。(PHVAから数えて概ね12~18か月後にはエストロゲンやテストステロンといった性ホルモンの増加が目立つ)
FHA(Final Height Velocity Age)
年間の伸長増加が1cm未満になる年齢
となります。日本語で言えばわかりやすいのですが、英語になったとたん覚えにくいです。
Phaseごとに成長する機能が変化します。どのような運動を行えばよいか各phaseごとにまとめてみます。
Phase1(思春期前)5~10歳ごろ
脳や脊髄などの神経系が急速に発達します。そのため運動療法やトレーニングにおいても、うまく動作を行う能力として基本動作能力の向上が求められます。
基本動作能力とは投げる、打つ、蹴る、走る、飛ぶといった動作能力の事を指します。
この基本動作能力向上を目的とした運動をコーディネーショントレーニングと言います。You Tubeでもたくさん動画が出ています。ぜひ検索してみてください。
コーディネーショントレーニングは5歳~12歳くらいの時期に重点的に行うといいと言われています。
Phase2(思春期前期)10~12歳ごろ
呼吸器や消化器などの内臓系と筋骨格系の発育が増加します。特に骨の急速な成長が目立ち、筋肥大はそれほど目立ちません。そのため成長期特有の怪我が増えるのもこの時期です。(膝の成長痛や野球肩・肘など)柔軟性の向上、体幹トレーニング、関節に負担のかからない身体の使い方の獲得が重要となります。
特に身長の受けやすい筋肉であるハムストリングスや大腿四頭筋などの柔軟性、普段の姿勢(どうしても猫背になりやすい)は非常に重要です。痛くなる前からストレッチを行うようにしてください。↓
余談ですが、、、筆者は中学生時代1年間に15cm身長が伸び、めちゃくちゃ膝が痛かったです。今考えるとストレッチが足りなかったなぁと反省しております。
Phase3(思春期後期)13~16歳ごろ
生殖器の発達に伴う性ホルモンの影響を受け始めることから体脂肪や骨格筋の肥大など体重の増加が著明となります。トレ―ニングに対する生体反応も成人に近似したものとなるため計画的なトレーニングが有効となっていきます。
Phase4(成長期の影響が少ない時期)17~19歳ごろ
成人と同様のトレーニング内容を実施可能。必要に応じて機材なども使用し高負荷且つ高難度で実施することが可能。
となります。Phase1・2が特に重要かと思います。この時期に様々な動作を行っておき、柔軟性を保っていると、いわゆる運動神経の良い子に育ち部活動やスポーツ少年団等でも活躍できるのではないかと思います。子供のあれやりたいこれやりたいに付き合うのは大変ですが成長に繋がると考えれば頑張れますね。
以上となります。長々と書いてしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。小さいお子様、お孫様がいらっしゃる方はぜひ参考にしてみてください。