リハビリテーション科の大谷です。

 

 

「肩甲骨はがし」というワードはここ数年でよく目にするようになりましたね。

 

よく目にするワードではありますが、具体的にはよくわからない方も多いと思います。

 

骨をはがすってどういうこと?痛みがあるの?肩甲骨ってそもそもどこにあるの?

 

「肩甲骨はがし」をすると、四十肩・五十肩が良くなる、肩こり・首のこりが改善する、猫背が良くなる、などと言われることが多いですが、実際はどうなのでしょうか?

 

 

簡単に言うと

「肩甲骨はがし」

 ⇒肩甲骨の動きを良くするために、肩甲骨周囲の筋肉をほぐすこと

 

 

もう少し詳しくお話するためには肩甲骨のことを少しお話していきます。

 

 

 

◆肩甲骨とは?

肩甲骨は背中の上部にある逆三角形のような形の骨で左右にあります。

 

肩甲骨の位置

 

 

肩甲骨は上腕骨と繋がり(肩甲上腕関節)、鎖骨とも繋がっています(肩鎖関節)。

肩甲骨の位置

 

 

また、肩甲骨は胸郭に接しています(肩甲胸郭関節)。

肩甲骨の位置

※肩甲骨と胸郭は筋肉を介して繋がっています。

 

 

◆肩甲骨の動き

肩甲骨は胸郭の上で、外側に開いたり内側に閉じたり、前傾したり回旋したりと様々な方向に動きます。

 

肩甲骨は単独で動くだけでなく、腕と連動して動きます。

これを「肩甲上腕リズム」と呼んでいます。

肩甲上腕リズム

 

写真のように、腕を挙げるとそれに伴って肩甲骨が回旋していきます。

 

仮に肩甲骨が動かなかった場合、つまり胸郭に肩甲骨が固定された状態で腕を挙げようとすると、肩関節のところで骨同士が衝突してしまい、一定の角度以上は腕が挙がらなくなります。

 

 

◆肩甲骨まわりの筋肉

肩甲骨には大小多くの筋肉が付いています。

肩甲骨回りの筋肉

※ヒューマン・アナトミー・アトラス2021 より引用

 

これらの筋肉により肩甲骨は様々な方向に動かすことができますが、これらの筋肉が凝り固まると肩甲骨が動かなくなり、つまり胸郭に肩甲骨が固定された状態になります。

 

 

 

では、「肩甲骨はがし」の話に戻ります。

 

肩甲骨周囲の筋肉が固まり、肩甲骨が胸郭に固定された状態になる。

他の言い方をすると、肩甲骨が胸郭に“こべりついた”状態になる。

胸郭に“こべりついた”状態から肩甲骨を“はがす”ことによって、肩甲骨が自由になり本来の動きがだせるようになる、ということです。

※はがすと言っても胸郭と肩甲骨は筋肉で連結しているので、完全にはがれることはありません。

 

肩甲上腕リズムの話に戻りますが、腕を動かすときは肩関節だけでなく、肩甲骨も連動して動きます。

肩甲骨が動かなくなると、肩関節に負担がかかり肩の痛みに繋がります。

なので、「肩甲骨はがし」をすることで肩にも良い影響がでるんですね。

 

「肩甲骨はがし」は他者がマッサージをしてはがすこともありますが、ご自身で意識的に肩甲骨を動かすことも「肩甲骨はがし」に繋がるので、ぜひ肩まわしなどの腕を大きく動かす体操をするときは肩甲骨から動かすように意識してみてください。

 

 

リハビリテーション科 大谷

大生水野クリニック