新型コロナウイルスの流行により、連日テレビ等でも「ワクチン」という言葉を毎日耳にするようになりましたね。今回はそんなワクチンの歴史や活躍について簡単ではありますがお話いたします。

 

ワクチンの歴史は古く、1798年にイギリスの開業医であるエドワード・ジェンナーが当時多数の死者を出していた天然痘と呼ばれる病気に対し、牛痘(牛がかかる天然痘)を用いた予防法を報告したことが始まりとされています。その後約100年後にフランスのパスツールによって「強い病気を起こすものから弱い病気を起こすものを人工的に作り出してそれをワクチンにする」という現在でも広く普及しているワクチンの原理が構築されました。

1900年代に入ると、新しいウイルスや細菌が見つかると共に、ワクチンの技術も進歩していき、今では多くの病気に対してワクチン接種で予防する事が当たり前の世の中となっています。
ワクチンそのものも進化しており、ウイルスそのものを弱毒化させて作られる「生ワクチン(おたふくかぜワクチン等)」から、ウイルスから有効成分のみを抽出する等して作られる「不活化ワクチン(インフルエンザワクチン等)」・病原体から出る毒素だけを弱毒化させて作られる「トキソイド(破傷風トキソイド等)」等、ウイルスや細菌に合わせて最も効果のでる形がつくられてきました。

今やさらにmRNAワクチンやベクターワクチンなど簡単には説明ができない新しいワクチンも開発されており、100年の間に凄まじい速度で進化しています。

 

そんなワクチンの活躍によって根絶された病がある事はご存じですか?
ワクチン誕生の基礎となった天然痘は、その後ワクチンの普及や衛生環境の改善などにより、1980年5月にWHOにより「天然痘の世界根絶」が宣言されております。

また小児麻痺を引き起こすポリオも、私たちの住むアジアを含む西太平洋地域は2000年に、今もひっきりなしにテレビに出る尾身茂先生の活躍によって根絶に成功しています。

 

ただ一方でワクチンを接種したとしても、中々流行を抑えられない病気も存在しています。新型コロナウイルスやインフルエンザもその1つですが、ワクチンは100%感染を予防できるものでは無く、油断すれば簡単に流行してしまうものもあります。ただ忘れてはいけないのはワクチン接種の目的は感染を予防するだけではなく、重症化を抑える効果も非常に大切という事です。

効果が分かりやすい鎮痛剤などの治療薬と比べ、ワクチンのような予防する薬は効果が実感しづらい側面があります。病気にならないために、病気になっても重症化しないように、ワクチンと上手につきあっていく事が大事なのかもしれません。

 

クリニック担当薬剤師 春木がお送り致しました♪

大生水野クリニック